静岡県における外来種ヤンバルトサカヤスデの生態調査(2008年〜現在)

ヤンバルトサカヤスデとは

  • ヤンバルトサカヤスデChamberlinius hualienensis Wang,1956は、成体の体長は3cm前後、背面は薄い褐色で各背板の後縁に黒褐色の横帯を持つヤスデです。普段は堆積した枯葉、落葉、塵芥が半熟した場所など、有機質に富んだ湿り気のある土壌を好んで生活していますが、11〜12月におびただしい数の亜成体や成体が地表面に姿を現して集団で移動します。この現象は異常発生と呼ばれ、建物やブロック塀などをよじ登り、家屋等に侵入して不快性の被害を引き起こします。同時に強い臭気を放ちます。なお、静岡市では4月以降に成体が異常発生することも観察されています。

ヤンバルトサカヤスデ
静岡県内の分布・生態情報
  • もともとは台湾に生息していたヤンバルトサカヤスデですが、1983年に沖縄で生息が確認されて以来、分布を鹿児島や八丈島などに広げています。静岡県でも、2002年頃から静岡市内で異常発生を繰り返しており、2008年から県内の健康福祉センター、市町関係課にアンケートを毎年実施してヤンバルトサカヤスデの分布状況の把握に努めています。浜松市や伊豆半島でも被害が発生するなど、分布が拡大傾向にあります。静岡市内に生息する本種の温度耐性を調べた結果、まだ定着していない県内の海沿いの地域の多くで異常発生する可能性が示唆されました。

県内におけるヤンバルトサカヤスデの生息確認地点

蔓延防止に向けて

  • ヤンバルトサカヤスデは一度定着するとその繁殖力の強さから根絶することは大変困難です。そのため、生息地周辺では、側溝の清掃、草刈り等を行い、ヤスデ類が好む環境を居住地域からなくすことが重要です。現在、家屋周辺や山林との境界などに帯状に薬剤を散布して、居住地への侵入を防止する対策が発生地では行われていますが、周辺環境への負荷や、卵・幼虫などを捕食する他の生物への影響を考慮して、適切な時期、量、場所での薬剤の使用が望まれます。
  • 本種の生息範囲の拡大は、土、堆肥、植木などとともに生息地から運ばれてくるなど人為的な要因が強いと考えられるため、迅速に発生地を把握し、周辺の住民の方々に情報を提供して土壌などの移動を抑制することが重要です。環境衛生科学研究所では、今後も市町関係課や住民の方々からの問い合わせに対応し、現地での確認や情報提供を積極的に行っていきます。

ヤンバルトサカヤスデの防除対策(静岡市内 2010.10. 白色部分は散布した薬剤)

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