平成21年度研究計画一覧表
|
部 |
研究テーマ |
研究期間 |
目的 |
効果・実績 |
|
微 生 物 部 |
静岡県東部におけるマダニの分布状況ならびにマダニ,野ネズミからの紅斑熱群リケッチアの検出 |
20〜21 |
日本紅斑熱(病原体:Rickettsia japonica)は、関東以南で発生が確認されており、特に四国や九州南部など温暖な地域で多発する傾向がみられる。静岡県においては、2000年に県東部で1症例報告された。日本紅斑熱は、適正治療が遅れると重症化し、死亡する例もみられるので、地域ごとに本疾患の感染リスクを把握しておくことは、重要なことである。今回は、県東部地域において紅斑熱群リケッチアの疫学調査を実行し、その結果を踏まえ、感染リスクの高い地域での本感染症の予防や啓蒙に役立てる。 |
日本紅斑熱は、早期に確定診断が得られれば、抗生物質により効果的な治療が可能であるが、適正治療が遅れると重症化しやすい疾患で、2004年と2005年に各1名ずつ死亡者が確認されている。したがって、対象地域の感染リスクを解析し、地域住民に対しの広報や啓発を行い、さらに医療関係者に対し紅斑熱の認識度を向上させることは、紅斑熱の感染予防の面で効果があるだけでなく早期適正治療による重症化の防止に役立つものと思われる。 |
|
微 生 物 部 |
レジオネラ属菌の簡便・迅速検査法の検討と入浴施設等の衛生管理への応用 |
20〜21 |
長期間を要する環境材料からのレジオネラ属菌の分離に代わる方法として、検体から直接レジオネラ属菌の遺伝子を検出する簡易・迅速検査法の有用性を検討し、レジオネラ属菌検査の迅速化を図る。検討した簡便・迅速検査法を用いて日常の行政検査や患者関連調査等の入浴施設の衛生管理に応用し、短時間で成績を現場に提供することによりレジオネラ感染症の予防対策に活用する。 |
簡易・迅速検査法の確立により、入浴施設等のレジオネラ属菌定期検査や、患者発生時の緊急検査で短時間に結果が得られることから、施設の衛生管理指導や患者発生時の調査に迅速に対応することが可能となり、レジオネラ感染症の発生予防に貢献できるものと考える。 |
|
微 生 物 部 |
リアルタイム(real time)PCR法による食品中の食中毒起因菌検索法の検討 |
21〜22 |
real time PCR法による食品中の食中毒起因菌検索法を検討し、検査への応用のための基礎データの収集を目的とする。 |
食中毒原因食品の特定は、食品衛生行政上重要であり衛生管理・指導を行う上で有効な情報となる。 |
|
微 生 物 部 |
肉用鶏における基質拡張型β―ラクタマーゼ産生大腸菌の 保菌実態調査 |
21〜22 |
ESBL産生菌が今後も増加し、人に伝播すれば、術後感染症や敗血症などの治療に大きな影響をおよぼすと思われ、家畜の中で特に高率に保菌が確認された肉用鶏における保菌実態を調査し、その増加防止対策の一助とすることを目的とした。 |
院内感染起因菌として知られる基質拡張型β−ラクタマーゼ産生大腸菌の肉用鶏における分布の実態調査を行い、発生原因の究明に役立てる。 |
|
微 生 物 部 |
PBMC(peripheral blood mononuclear cell:末梢血単核球)中のC型肝炎ウイルス核酸(HCV-RNA)の高感度検出に関する研究 |
21 |
HCV感染症の診断法としてPBMC中のHCV-RNAのプラス鎖およびマイナス鎖をTaqManプローブを用いたリアルタイムPCR法で検出し、ウイルス存在の確認が血清中HCV-RNAより精度良く行うことが可能であるかなど、その有用性を検討する。 |
血清中HCV-RNAが消失したC型慢性肝炎のPBMC中HCV-RNAのプラス鎖およびマイナス鎖を高感度に検出可能な測定系を構築し、その有用性を検討する。 |
|
医 薬 食 品 部 |
毒物劇物の迅速検出法の検討 |
19〜21 |
無機性毒物劇物スクリーニング法の構築及び健康危害発生時の検査手順の標準化が求められている。健康危害発生時の検査法(手順等)について標準化を図り、迅速な対応を可能とする。 |
無機性毒物劇物の試験方法を整理し、スクリーニング法を確立することにより、化学テロも視野に入れた健康危害発生時の検査手順を明確化でき、迅速な対応が可能となる。 |
|
医 薬 食 品 部 |
日本薬局方の試験法の問題点に関する研究 |
19〜21 |
日本薬局方の試験法に関する問題点について、医薬品製造業者から改訂・修正の要望があるため、局方の改正に向け、官民協働により代替法の妥当性を検証し、厚生労働省、国立医薬品食品衛生研究所、日本公定書協会等に提案していく。 |
現状試験法や規格等の問題点を把握し、試験方法等の解決策を検討し、局方の改正に向け、提案していく。県内医薬品等製造所の品質保証体制を支援することが可能となる。 |
|
医 薬 食 品 部 |
LC/MS/MSによる動物用医薬品の一斉分析法に関する検討 |
20〜21 |
検出頻度の高い品目に着目した迅速かつ効率的な新たな一斉分析法が必要なため、LC/MSに比較し、選択性が飛躍的に向上したLC/MS/MSを用いた一斉分析法の開発を試みる。 |
現在、動物用医薬品の検査は必要に応じ一斉試験法と個別分析法を併用しているため、多大な時間や労力がかかっている。それらの問題点を解消する。 |
|
医 薬 食 品 部 |
医薬部外品「染毛剤」の知事承認申請に関するガイドブック作成 |
21 |
染毛剤の承認申請に特有の規格及び試験方法の項目について検討し、科学的な根拠を基に審査の基準を明確にし、申請資料の作成及びその審査業務を標準化し、効率化するためのガイドブックを作成する。 |
染毛剤の試験法は染毛剤の成分により共通部分が多いため、ガイドブックの作成は多くの県内医薬品等製造販売業者の申請時の利便性を高めると同時に、品質管理レベルの向上が期待される。 |
|
医 薬 食 品 部 |
栄養補助食品(サプリメント)の成分に関する調査研究 |
21〜22 |
市販されている栄養補助食品の中でもビタミンやミネラル等を含有する栄養補助食品に着目し、医薬品の品質の評価手法である崩壊試験や成分分析等を行う。 |
商品毎及び医薬品と比較し、栄養補助食品の適正な利用について県民に情報提供する。 |
|
環 境 科 学 部 |
家庭で使用される合成香料・医薬品中の化学物質の環境への影響調査 |
20〜21 |
家庭で使用される化学物質の中には下水処理では除去しきれずに放流されているものがある。地域ごとの環境保全対策に役立てるため、県内の河川についてこれらの化学物質の分布を調査する。 |
合成香料や、地域に特徴的な化学物質による県内河川の汚染の有無について知ることで、地域差を考慮した環境保全対策に役立つ。 |
|
環 境 科 学 部 |
天空ダム富士山-富士山を巡る健全な水循環確保に関する研究- |
20〜23 |
富士山周辺において、これまで考慮されなかった深部の地下水を含めた水循環と豊かな生活環境や自然環境との関係を明らかにする。 |
利用可能な水資源を解明し、かつて隆盛を誇った産業の規模見直しや再構築や企業誘致のためのインフラ整備の基礎資料とする。これらに加え、世界遺産と共存する水資源の開発・確保、持続可能な社会の構築、安全・安心な社会の次世代への承継するため、富士山周辺における「健全な水循環の確保」のための対策を提案する。 |
|
環 境 科 学 部 |
静岡県内における化学物質の環境リスク評価に関する研究 |
21 |
PRTRデータを基に有害化学物質の大気中への排出量が多い地域において、パッシブサンプラーを用いた多地点同時サンプリング調査により、地域汚染の実態と環境リスク評価について解析する。 |
相対的濃度分布図から発生源の影響を推測し、環境リスクの評価と優先的に削減すべき物質の選定手法への適用性を検討する。 |
|
環 境 科 学 部 |
HPLC高感度分析手法による環境中のビスフェノールA測定の適用性について |
21 |
簡便かつ高感度でビスフェノールA(BPA)を測定できるHPLCを用いた分析手法を、当研究所において開発した。そこで実環境中(水・大気・室内空気等)でのサンプリングによる試料分析を行うことで、開発した高感度分析手法の環境調査への適用性を調べる。 |
化学物質についての環境中濃度の実態調査については、一部の水域については行われているが、水・大気を含めた環境中濃度について実態を把握する。 |
|
環 境 科 学 部 |
静岡県内の河川の内分泌かく乱化学物質の調査 |
21 |
平成19年度〜20年度の調査の結果、特に活性の高かった地点の検水について、活性を有する化合物の検出を試み、活性の原因物質を探ることを目的とする。 |
外因性内分泌かく乱化学物質の問題への対応策の基礎資料とする。 |
|
大 気 ・ 水 質 部 |
AOD(水族環境診断法)による新たな水質評価方法の検討 |
20〜21 |
公共用水域における水質汚濁状況は、環境基準の適否により評価しているが、水生生物の保全を観点とした河川等の評価は行っていない。そこで、水質と水生生物を組み合わせた総合的な水環境の新しい指標として、AODを用いた評価手法について検討する。具体的には、BOD等の既存データとAODの比較やそれぞれの評価における長所と欠点を確認しAODの改善・実効性について検討する。 |
県民にこれまでのBOD等の評価に加えて、AODを用いた新たな指標を提示することにより、工場排水や生活排水等が河川に生息する生物に及ぼす影響の程度をこれまで以上に分かり易く説明が可能となる。また、現在行われている小中学校の環境教育(水生生物調査等)の場でその成果を活用していく。 |
|
大 気 ・ 水 質 部 |
静岡県内の砒素による地下水汚染の対応について |
21〜22 |
静岡県内の地下水に含有する砒素の状況をこれまでの地下水モニタリング資料や温泉等のデータ等により汚染状況を取りまとめるとともにデータが不十分と思われる地域については、井戸の調査分析を行い、地下水データを補完する。 |
汚染の恐れのある地域の推定(マップ化)と汚染源が自然由来と考えられる地点における定点モニタリングのあり方など、砒素による地下水汚染に関する今後の対応について提言する。 |
|
大 気 ・ 水 質 部 |
富士山静岡空港開港に伴う大気環境影響に関する研究 |
21〜22 |
空港の開港により空港周辺環境の状況が大きく変化することが想定されるため、大気環境測定車等による大気環境調査を実施し、空港開港に伴う大気環境への影響を実態把握することを目的とする。 |
環境基準等の超過により地域住民の健康影響が懸念される結果が得られた場合、航空機及び車両等の汚染寄与を推計し、航空機運航スケジュールや周辺アクセス道路利用方法の検討等の行政施策に役立てる。 |
|
大 気 ・ 水 質 部 |
富士山静岡空港における低周波音の発生状況について |
21 |
富士山静岡空港が平成21年3月開港となることから、騒音等に対する苦情も予想されるため、航空機による影響のうち知見やデータが不足している低周波音についてその発生状況を把握する。 |
富士山静岡空港開港に伴う周辺環境の影響について調査・解析し、周辺地域の環境保全に役立てる。 |
|
大 気 ・ 水 質 部 |
ブナ林衰退地域における総合植生モニタリング手法の開発 |
21 |
富士山のブナ林域内において樹木活性・環境計測方法の検討を行い、さらには調査区域及びその周辺の大気汚染状況とブナの生育状況との関係について調査する。 |
本研究のデータ並びに研究グループのデータを併せてブナ林衰退地域以外でも適用可能な、ブナ林生態系の健全度に関する総合調査マニュアル(案)を作成すること、ブナ林を有する多くの都道府県が参画する総合植生モニタリングのネットワークを構築する。 |