平成22年度研究計画一覧表(衛生)

研究テーマ

研究年度

目   的

効果・実績

リアルタイム(real timePCR法による食品中の食中毒起因菌検索法の検討

 

 

2122

 

食中毒原因食品の特定は、食中毒発生の拡大防止や再発防止のための衛生指導に必須の情報である。

しかし、従来用いられる培養法は煩雑で多くの時間を必要とするにもかかわらず、しばしば原因微生物の分離が困難なケースがある。本研究は、迅速かつ高感度な遺伝子検査法であるリアルタイムPCR法を用いて、食品中の食中毒起因菌検索法を検討し、静岡県としての標準プロトコールを確立することを目的とする。

 

・迅速な食中毒原因食品と感染経路の特定により、迅速に効果的な衛生指導の実施が可能。

・食中毒の原因食品、原因物質の解明率が上昇、的確な衛生指導の実施により、食中毒発生数を減少させることにつながる。

・糞便への応用により、排菌数の減少がみられる治療後患者からも感染症原因菌を特定することが可能。

肉用鶏における基質拡張型β―ラクタマーゼ産生大腸菌の     保菌実態調査

2122

基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌が肉用鶏糞便から多く検出されている。第3世代セフェム系薬剤にまで耐性を示すため、院内感染起因菌として蔓延が懸念され、今後、地方衛生研究所で解析が求められる薬剤耐性菌のひとつに挙げられている。家畜の中で特に高率に保菌が確認された肉用鶏における保菌実態を調査し、その増加防止対策の一助とする。

肉用鶏におけるESBL産生大腸菌の分布を把握し、得られた結果を家畜保健衛生所や農場へ還元することにより、発生要因の究明・発生防止対策に役立てる。

県内における結核菌のVNTR法による分子疫学調査

2223

静岡県では結核の新規登録患者の約7割が60歳以上で、今後高齢者人口の増加する中で、医療機関や高齢者施設での集団感染の防止が課題となっている。本研究は、20年度終了の研究課題「結核菌の遺伝子解析と疫学調査への応用」を発展させ、県内分離株のVNTR解析結果のデータベースの構築を目的とする。

・県内菌株の遺伝子解析結果をデジタルデータ化することで、容易に菌株の異同を確認でき、感染経路の解明や行政の迅速な対応を可能にする。

    データベースの構築により、結核菌蔓延状況や流行株の把握が可能になる。他の都道府県とのデータの共有化を進め、結核の感染防止対策に役立てる。

市場使用海水や魚介類加工用海水の腸炎ビブリオ汚染実態の研究

2223

市場の使用海水は魚介類の洗浄・運搬、貝類の畜養や、活魚用いけすの海水として使用されるほか、魚介類の加工時にも使用されている。市場使用海水や加工用海水の腸炎ビブリオ病原株の汚染菌数の定量を、従来法より、より迅速かつ簡便に検査できる方法を開発し、それらの海水の清浄度を検査して使用海水等の清浄化と食中毒減少との関係を確認する。

海水中の腸炎ビブリオ汚染をリアルタイムPCR法で迅速、簡便に測定することで、従来より短時間、省力化して、腸炎ビブリオ警報の発令が採用可能になる。

・市場の使用海水等が腸炎ビブリオ・フリーであれば、県内産の魚介類が市場等で腸炎ビブリオに2次汚染されることがなく、安全性が高いことをアピールできる。

 

食品等からの下痢症ウイルスの高感度検出法の開発と下痢症ウイルスの感染疫学調査

2223

食品等からの下痢症ウイルスの検査で、現在実施している厚生労働省通知に基づく方法では材料からウイルスが検出される事例は非常に少なく、より高感度な検査法の確立が望まれている。そこで食品および拭き取り検体からの下痢症ウイルスの高感度検出法を開発を行う。また、サポウイルス感染症の発生動向を正確に把握するために、本ウイルスの分子疫学的解析手法(PCR系の確立)についても検討する。

本研究で、下痢症ウイルスの高感度検出法を開発することにより、より科学的根拠に基づく行政対応を可能にする。

静岡県におけるオセルタミビル耐性インフルエンザウイルスの出現状況に関する調査研究

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諸外国で分離された季節性インフルエンザA/H1N1ウイルス(ソ連型)の90%以上がオセルタミビル耐性で、わが国でも99%と高耐性化している。そして新型インフルエンザA/H1N1ウイルスにおいても、オセルタミビル耐性株が確認されはじめている。今後、新型インフルエンザA/H1N12009/10シーズンの感染拡大が見込まれ、耐性株が優勢になり医療機関における抗インフルエンザ薬を用いた治療戦略に大きな影響が出ることが懸念されている。そこで、本県で分離されたインフルエンザ株についてオセルタミビル耐性株の出現状況を調査し、さらに本剤の抗ウイルス活性を測定する。

抗インフルエンザ耐性ウイルスの流行状況を臨床の現場へ還元することにより、治療方針の選択等に役立てる。

入浴施設の衛生管理(レジオネラ属菌対策)のための監視指導の現場で実施可能な浴槽水の衛生状態を把握する簡便な検査方法の検討

2223

平成20年度の行政検査において、浴槽水等の33%からレジオネラ属菌が分離された。また、しばしば県内外で発生した患者の関連調査でも浴槽水からレジオネラ属菌が分離されており、日常的な営業者の自主(衛生)管理の徹底と保健所等による監視指導が重要となってきている。そこで、保健所等が現場で行う監視指導に活用できる衛生状況の確認方法について検討し、現場の衛生管理に役立てる。

保健所が行う入浴施設等の立入調査(衛生指導)の現場で短時間に衛生状態の把握(推定)を可能にし、より説得力のある的確な衛生指導につなげ、レジオネラ感染症の発生予防に貢献する。

静岡県中西部におけるマダニの分布状況および紅斑熱群リケッチア浸淫状況の調査

22

日本紅斑熱は、適正治療が遅れると重症化し、死亡例もある。静岡県では2000年に県東部で1症例報告されているにもかかわらず、これまで疫学調査がされていなかった。当所では一般研究で2021年度にかけ県東部において疫学調査を実施した。その中間評価で、評価委員から中西部についても調査を行うべきであると言う意見をいただいたので、今回は、県中西部において紅斑熱群リケッチアの疫学調査を実行し、その結果を踏まえ、感染リスクの高い地域での本感染症の予防や啓蒙に役立てる。

 

・対象地域ごとに、紅斑熱群リケッチアの感染リスクを解析し、地域住民に対する広報や啓発に役立てる。

・紅斑熱は、早期に確定診断が得られれば、抗生物質により効果的な治療が可能であるが、適正治療が遅れると重症化しやすい。そこで、対象地域ごとの紅斑熱群リケッチアの感染リスクを医療関係者に提供し、紅斑熱の認識度を向上させ、早期適正治療に役立てる。

 


 

研究テーマ

研究年度

目  的

効果・実績

栄養補助食品(サプリメント)の成分に関する調査研究

2122

栄養補助食品は、利用者が多く、今後もこの傾向は増加すると予想されるが、有効性、安全性について科学的な検証は十分ではなく、消費者への情報提供が十分に行われていない状況である。そこで、ビタミンやミネラル等を含有する栄養補助食品の崩壊試験や成分分析等を行い、実態を調査する。

栄養補助食品の成分分析、崩壊試験等の結果を商品ごとに比較することで、県民に品質に関するデータの提供が可能となり、また、利用実態調査により栄養補助食品に対する利用者の考え方を踏まえた適正な利用に関する情報を提供できる。

生薬等、天然由来の生理活性物質の迅速分析法に関する研究

2223

昨今、いわゆる健康食品から医薬品成分が検出される事例や、化学物質による食品の汚染が散見されており、これらによる健康被害も報告されている。そこで現在、主として無機性の毒物劇物に対する迅速分析法の確立とともに、既存分析法の系統化による健康危害発生時の迅速な対応を目的とした研究を行っており、平成19年度から21年度までの研究により、無機化学物質や医薬品成分等については検査体制を整備する予定であるが、平成22年度からは、これまでに検討されていない自然毒や生薬成分等の天然由来の生理活性物質に関して迅速分析法を検討し、検査体制を整備する。

今年度までに整備予定の無機化学物質や医薬品成分等に加え、自然毒、生薬等の天然由来生理活性物質の迅速分析法を整備することで、体系的な検査手順が確立され、健康危害発生時の迅速な対応が可能となる。

農産食品中の残留農薬一斉分析法に関する検討

2223

農産品に対し使用頻度が高い農薬や検疫所における違反事例として報告があり残留の可能性が心配される農薬で、検査の必要性が高いが現在の一斉分析法では検査できない農薬を選定し、それらをGC/MS/MSLC/MS/MSを用いて同時に分析できる試験法の開発を試みる。そして、この開発した試験法を用いて県内流通農産物の安全性の確保に資することを目的とする。

開発した一斉分析法により、監視対象とする農薬品目の範囲を拡大することができ、また、他分析機関へ情報提供を行うことにより監視が強化され、県民の食の安全確保に寄与することができる。

医薬品の溶出性の安定性に関する研究

2223

医薬品の溶出性は、有効成分の体内吸収の指標となるため、品質評価の上で重要な要素である。しかし、溶出性の経時変化により、有効期限内に品質規格を満たさなくなり、回収される事例が見られる。そこで、医薬品の溶出性の経時変化を調査して溶出性に影響を及ぼす要因を見出し、製造時及び使用時における留意点を明らかにする。

溶出性の経時変化に影響を及ぼす要因を調査し、得られた知見をもとに、医薬品製造販売業者における製剤設計又は品質管理への指導を行い、薬局及び県民への適切な取扱いについての情報提供を行うことにより、医薬品の品質向上及び県民の健康維持が期待される。