静岡県環境衛生科学研究所

No.128

商品テスト情報

―かんきつ類の果実飲料―


 色の濃い食品に多く含まれるカロテノイドは、抗酸化作用や発ガン抑制作用が期待されている機能性成分で、β-カロテン(にんじん等)やリコピン(トマト、パプリカ等)が良く知られています。一方、静岡県の特産である温州みかん(以下、みかんとする)にも、カロテノイドの一種のβ-クリプトキサンチンが多く含まれていますが、β-カロテンやリコピンと比べ、あまり知られていません。そこで、かんきつ類の果実飲料(以下、果実飲料とする)に含まれるβ-クリプトキサンチン等の抗酸化作用のある成分について調べてみました。

角丸四角形: ジュースと果汁入り飲料
品質表示の品名が、「○○ジュース」とあるものは、食品添加物以外の原材料に果実(○○にあたる)の搾汁、濃縮果汁または還元果汁と糖類、はちみつ等を使用したものです。ただし、オレンジジュースの場合は、みかん等の果汁が加えられていることもあります。
「○○果汁入り飲料」は、果実の搾汁や還元果汁を希釈し果汁が10%以上のもの、還元果汁を使用したものでは、その濃度が果実の種類ごとに定められた糖度の10%以上100%未満のもので、果汁の割合が果汁、糖類、はちみつ、水以外の原材料よりも多いものをいいます。

かんきつ類の果実飲料に含まれる機能性成分
かんきつ類の果実飲料に含まれる機能性成分としては、ビタミンCがよく知られています。それ以外にはどのような機能性成分があるでしょうか。パッケージを見てみると、次のようなものが記載されていました。
・β-クリプトキサンチン:みかんの橙色の元にもなっている、カロテノイドの一種です。体内で必要に応じて、ビタミンAに変換されるため、過剰症の心配はないとされています。みかんをたくさん食べると肌が黄色くなること(柑皮症)がありますが、健康上問題はないようです。抗酸化作用、発ガン抑制、糖尿病の予防等の効果が期待されています。
・ヘスペリジン:かんきつ類の果皮などに多く含まれるフラボノイドの一種です。循環器疾患の予防や抗酸化作用、抗アレルギーなどの効果があるといわれています。かんきつ類の果実飲料に白い沈殿ができることがありますが、これはヘスペリジンが析出したものです。時間を置くと沈殿が多くなるので、果実飲料は開封前によく振って(窒素充填されているものでは軽めに)、早めに飲みましょう。

=== テストしたのは… ===

 市販されていた果実飲料12銘柄(1)について調べました。
● 果実飲料に含まれるβ-クリプトキサンチンは?
 果実飲料のβ-クリプトキサンチン含有量は、果汁の割合や果実の種類によって、異なるのでしょうか?果実飲料100g当たりの含有量を比べてみました(図1)。みかんジュースは、銘柄間で含有量に大きな差がありましたが、5銘柄の平均は0.77mg/100gで、他の果実飲料と比較してβ-クリプトキサンチンが多く含まれていました。原材料表示等からみかん果汁の割合が多いと推定された果実飲料ほど、βクリプトキサンチンが多いことがわかりました。また、みかん果汁を使用していない果実飲料(No.1112)や使用量の少ない果実飲料(No.10)ではβ-クリプトキサンチンは検出されませんでした。しかし、みかん果粒が使用されている果実飲料(No.9)は、よりみかん果汁が多いと思われる70%みかん果汁入り飲料よりも、β-クリプトキサンチンが多く含まれていました。
● 果実飲料に含まれるビタミンCは?
 果実飲料の種類によって、含まれるビタミンCの量は異なるのでしょうか?みかんジュースやみかん果汁入り飲料は、オレンジを主原材料とした果実飲料(No.118)やビタミンCを添加した果実飲料(No.791012)に比べ、ビタミンCが少ないことがわかりました(図2)。しかし、みかんジュースコップ1杯で、推定平均必要量(100mg/日)の約5分の1のビタミンCが摂取できることがわかりました。

● 保存方法によって、機能性成分の量は変わるでしょうか?

 PETボトル、紙パック(裏面はアルミ)、スチール缶の果実飲料を、日向または室温暗所で50日間保存し、冷蔵庫保存と比較しました。保存容器や場所による、β-クリプトキサンチンの含有量(図3)には、差はありませんでした。一方、ビタミンC含有量(図4)は、PETボトルや紙パックの果実飲料では、冷蔵庫保存よりも少なくなりました。これらの容器に充填された果実飲料は、冷蔵庫で保存し、早めに飲むほうがよいでしょう。また、買い置きは避けましょう。
■□■ まとめ □■
横巻き: 1 β-クリプトキサンチンは、みかん果汁の割合が多いものや、みかん果粒が入っているものに多く含まれていました。オレンジジュースには含まれていませんでした。
横巻き: 2 みかんジュースやみかん果汁入り飲料では、オレンジジュースよりもビタミンCは少なめでしたが、みかんジュースコップ1杯には、1日の推定平均必要量の約5分の1のビタミンCが含まれていました。
横巻き: 3 PETボトルや紙パックの果実飲料では、保存場所によっては、ビタミンCが少なくなる可能性があります。常温保存ができるものでも、買い置きは避け、できれば冷蔵庫で保存し、早めに飲みましょう。
角丸四角形: ○○不使用・・・

「砂糖不使用」「自然な香り」等の表示がされている果実飲料を見かけることがありますが、これらの表示には注意しましょう。
テストした商品の中にも、「砂糖不使用」「自然な香り」と表示されているものがありましたが、果糖などの砂糖以外の糖類や香料が使用されているものもありました。商品を選ぶときは、原材料などの表示を参考にして、イメージだけに惑わされないようにしましょう。


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