静岡県環境衛生科学研究所

No.130

商品テスト情報

―「吸汗速乾のTシャツ―


「吸汗速乾」のTシャツは、スポーツ用など比較的高価なものから始まり、近年では安価なものも入手できるようになりました。「吸汗速乾」のTシャツは、その素材やその機能を付与する加工方法が様々です。これらのTシャツには「吸汗速乾」についての表示やマークが付けられていることがありますが、評価方法が各社で異なるため、これらの表示やマーク等を比較して、Tシャツを選ぶことが難しいと思われます。
 そこで、市販の「吸汗速乾」のTシャツの機能性について調べてみました。


=== テストしたのは… ===

テキスト ボックス: 表1 調査対象
No.	素材(本体部分)	表示*	価格
(円)
		吸汗	速乾	
1	綿100%	有	有	840
2	綿100%	有	有	498
3	綿100%	無	無	199**
4	綿60%、ポリエステル40%	無	無	1,000
5	綿50%、ポリエステル50%	有	無	598
6	綿50%、ポリエステル50%	有	有	1,365
 7***	綿45%、ポリエステル55%	無	無	1,990
8	綿30%、ポリエステル70%	無	有	1,522
9	ポリエステル100%	有	有	735
10	ポリエステル100%	有	有	2,500
11	ポリエステル100%	有	有	1,985
12	綿72%、ナイロン28%	有	有	1,000
*:吸汗または速乾の表示やマークの有無 **:598円(3枚組)
***:フライスは綿60%、ポリエステル35%、ポリウレタン5%
 静岡県内で市販されていたTシャツ12商品です(1)。


● 「吸汗速乾」のTシャツについてアンケート調査を行いました

 静岡県職員を対象に、「吸汗速乾」のTシャツについてアンケート調査を実施し、2,047人から回答を得ました。(以下はその一部です。)
1 「吸汗速乾」のTシャツを使用している人は39.8%、使用したことがある(いまは使用していない)人は4.8%でした(図1)。使用をやめた理由は、効果が不明、感じられない(36人)が最も多く、次いで気に入ったデザインがない(23人)となりました。
2 「吸汗速乾」のTシャツを使用している人のうち85.3%は「吸汗速乾」の効果を感じていました。一方で、あまり効果が感じられなかった人も11.4%いました(図2)。
● 「吸汗速乾」のTシャツの吸水性は?

「吸汗速乾」のTシャツはどのくらい速く水分を吸収するのでしょうか?そこで、Tシャツの生地に水滴をたらし、吸水の速さを調べてみました(表2)。
 洗濯前の吸水性に優れるものが7商品、劣るものが2商品でした。吸水性が劣るもののうちNo.1は「吸汗速乾」の表示のあるものでした。洗濯後には、No.11を除くすべての商品で吸水性がよい結果となりました。Tシャツの素材や「吸汗速乾」の表示の有無による、吸水性の差はほとんどありませんでした。

テキスト ボックス: 表2 吸水性(ドロップテスト*)     (単位 秒)
	洗濯前	洗濯10回後		洗濯前	洗濯10回後
1	30<	1.2	7	2.9	0.6
2	<0.5	<0.5	8	<0.5	<0.5
3	<0.5	<0.5	9	1.3	<0.5
4	30<	1.2	10	<0.5	<0.5
5	<0.5	<0.5	11	<0.5	8.5**
6	22.6	6.6	12	<0.5	<0.5
注)太字:吸汗速乾の表示無し 斜体:吸汗、速乾一方のみ
*) 0.5秒未満:吸水性良 30秒以上:吸水性不良(n=3)
**) ばらつきが大きいため、n=5の平均値とした

● 洗濯後の速乾性は?

洗濯脱水したTシャツをハンガーで吊るし干しして、乾燥にかかる時間を比べてみました。
 「吸汗速乾」の表示に関わらず、ポリエステルの割合が高いほど短時間で乾燥する傾向がありました(図3)。ただし、綿とポリエステルのTシャツ(No.4-8)で見ると、「吸汗速乾」の表示のあったNo.6は、ポリエステルの割合が同等のNo.5やよりポリエステルの多いNo.8よりも速乾性に優れていました。また、No.9は洗濯1回目では脱水直後の重量変化率が最も小さく、速く乾燥しましたが、洗濯10回目では、その他のポリエステルのTシャツと変わらなくなりました。

● 汗をかいたときの「吸汗速乾」性は?

汗によるべたつきは不快なものです。スポーツ時など汗を多量にかく場合と、汗のかき始めや日常で汗をかく場合を想定して、水分の蒸散性について調べました。
 多量発汗時(図4)、汗のかき始め(図5)ともに、「吸汗速乾」の表示に関わらず、ポリエステルの割合が高いものほど速く乾く傾向にあることがわかりました。
 綿とポリエステルの商品では多量発汗時ではNo.8が速く乾き、汗のかき始めではNo.5が早く乾きました。これらはそれぞれ、「洗濯後の乾きが速い」、「吸汗」と表示されており、表示で示された機能と実際の機能が異なったことから、これらの表示の定義が統一されていないことがうかがわれました。また、綿100%で「吸汗速乾」と表示されたもの(No.12)は、対照品(No.3)と比べて蒸散性に劣りました。
 10回洗濯後では、ポリエステルの割合が多いものでは蒸散性が低下する傾向にありました。特にNo.9の変化は大きく、洗濯に対する耐久性が良くないことがわかりました。


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