静岡県環境衛生科学研究所

No.131

商品テスト情報

―シリコーン製ラップ―

食品用ラップは多くの家庭で使用され、台所では欠かすことのできない商品の1つです。しかし、これらは一般に使い捨てとして使用されているため、資源の消費や廃棄物の増加などの問題があります。そこで、この問題を解決するため、繰り返し使用可能なシリコーンゴムを使ったラップが製品化されています。今回、シリコーン製ラップの品質や使い勝手等を調べてみました。


=== テストしたのは… ===

インターネット又は日用雑貨量販店で購入したシリコーン製ラップ8銘柄についてテストしました。また、食品用ラップ4銘柄を対照品目としました。 (表1

 表1 調査対象
● シリコーン製ラップの品質は?

☆ 耐熱性・耐冷性 

耐熱温度及び耐冷温度が適正に表示されているかプラスチック製食器類のJIS規格(以下、「JIS」)に準じて試験したところ、全銘柄で規格を満たしていました。なお、耐熱・耐冷温度が商品の包装に記載されていない商品が1銘柄ありました。

☆ 電子レンジ耐久性  

電子レンジ使用による耐久性をJISに準じて試験したところ、全ての銘柄で規格を満たしていました。


☆ 蒸発残留物

食品衛生法の器具及び容器包装の規格基準の方法に従って試験したところ、全ての銘柄で食品衛生法の基準に適合していました。


☆ 密着性(2

容器に装着した際の密着性をJISの水漏れ試験に準じて試験したところ、水漏れがなかったのは8銘柄中4銘柄でした。なお、食品用ラップは4銘柄全てで水漏れがありました。

☆ におい漏れ(2

シャーレに酢酸を入れ、シリコーン製ラップを装着し、におい漏れの有無を確認しました。その結果、8銘柄中4銘柄でにおい漏れがありませんでした。なお、食品用ラップでは、4銘柄中3銘柄でにおい漏れがありました。


☆ 色・においの付着

カレーを入れた容器にシリコーン製ラップを装着し、電子レンジで繰り返し加熱したところ、加熱中に容器からはがれたり、洗っても色やにおいが付着したまま残ってしまうものがありました。

2 品質試験結果(抜粋)

 繰り返し使用した後の品質は?
☆ 耐熱性・耐冷性・  蒸発残留物・傷・  寸法の変化 

1)〜3) のいずれの条件でも問題はなく、繰り返し使用することによる品質の劣化は認められませんでした。

 
 装着は表示どおりに
       できるでしょうか?

商品包装に記載されている装着可能な容器の直径どおりに装着できるか、直径の異なる容器への装着について試験しました。その結果、表示どおりに装着できたものは8銘柄中2銘柄(No.2及び3)のみでした。そこで、装着できなかった6銘柄について10人で再度試験を行いました(表3)。すると、空の容器では、対応直径範囲内の容器に8割以上の人が装着できない銘柄がありました(No.7及び8)。また、容器に水を入れると、より装着しにくくなりました。さらに、装着時に中の水がこぼれてしまった銘柄があったことから、液体の食品を入れて使用する場合には火傷の恐れもありました。
 インターネット等の通信販売で、様々な商品を手軽に購入することができますが、実際に商品を確認することはできず、品質や性能等のイメージが実際と異なる場合があるので、正しい情報を見極めることが大切です。

  表3 装着試験結果

● 使い勝手はどうでしょうか?

 当所職員16人を対象に、実際にシリコーン製ラップを使ってもらい、使い勝手や食品用ラップの代わりに使用したいか等について調査を行ったところ、使用テスト実施前には「使用したい」と答えた人が16人中10人いました。しかし、使用テスト実施後には6人となり減ってしまいました。その主な理由は、「使用できる容器が限られる」や「洗浄や乾燥がやりにくい」等の使い勝手に関するものが多く挙げられました。

● 
環境への影響について〜食品用ラップとの比較〜

 化石燃料使用量

シリコーン製ラップの原材料樹脂はシリコーンゴムです。一方、食品用ラップには、表1に示したように様々な樹脂が用いられています。樹脂の分子式に従い、化石燃料(石油、石炭)由来成分の割合を算出したところ、シリコーンゴムは40.5%、ポリエチレン及びポリメチルペンテンは100%、ポリ塩化ビニルは43.3%、ポリ塩化ビニリデンは26.7%となりました注1)。これに基づき、1回使用量当たりの化石燃料使用量を算出したところ、シリコーン製ラップを1538回以上注2)繰り返し使用すれば、食品用ラップより化石燃料使用量が少なくなることとなりました(表4)。

 表4 化石燃料使用量の比較                                                      

1)樹脂は、一般的に製造方法や製造メーカー等により添加物の種類や収率が異なりますので、ここでの算出値は参考値として扱います。
2)品質試験及び繰り返し耐久性試験結果から、シリコーン製ラップはこの使用回数に十分耐え得ると考えられました。

□■□ まとめ □■□
角丸四角形: 1 シリコーン製ラップの品質(耐熱性、耐冷性、電子レンジ耐久性、蒸発残留物)は、JIS又は食品衛生法の基準に適合していました。
2 シリコーン製ラップの密着性は、一旦容器に装着すれば大変優れていましたが、中には水漏れする場合もあるのでなるべく傾けずに使うとよいでしょう。また、においは食品用ラップに比べて漏れにくいようですが、においや色の強い食品に使用した場合には、洗っても完全には取れませんでした。
3 耐熱・耐冷温度が記載されていない銘柄がありました。法的な規制はありませんが、高温や低温での使用が予想されますので表示されることが望まれました。
4 今回調査した試験項目の範囲では、繰り返し使用による品質の劣化はみられませんでした。
5 容器を選ばず使用できる旨が記載されていたにも関わらず、記載条件に適合する容器に装着できない銘柄がありました。消費者に誤解を与えないように表示し、正確に商品情報を伝えることが望まれました。
6 使用テストから、多くの人が商品表示はわかりやすく、品質に問題はないと感じていましたが、使い勝手については十分には満足していないことがわかりました。装着のしやすさや素材の柔軟性等についての改良が望まれました。
7 シリコーン製ラップは、化石燃料使用量については15〜38回以上の使用で、また、廃棄物量については21〜44回以上の使用で食品用ラップより少なくなると算出されました。食品用ラップの代替品としてシリコーン製ラップを使用することは少なからず環境負荷の軽減につながります。
8 今回の調査が、使い捨て商品を見直し、身近なところから環境問題に関心を持つきっかけとなればと思います。


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