2000年8月27日 富士川で水難事故発生

 

ナチュラルアクション・リバーガイドがバイスタンダーとして対応。

 

JpSART-MLより

 
 

●事故現場
    静岡県富士郡芝川町長貫
    富士川の新内房橋上流100m右岸より10m程の地点
    水深約2.5m(流速:秒速20cm程度の瀞場)

●発見場所
    事故現場より50m程下流で、右岸側より7m程の地点
    水深約2m(流速:秒速20cm程度の瀞場)

●発生時刻
    午後2時頃

●水   位
    クラッシャー下流の水位計で5.5m(ほぼ最低水位)

静岡市の会社員Aさん(男49歳)が、会社の同僚4名(男性3名、女性1名)と、富士川へ水遊びをしに来ていて深みにはまり、溺れた模様。同僚に話を聞いたところ、泳ぎながらだんだんと沈んでいき、ついには姿が見えなくなってしまったようだ。
驚いた同僚は、携帯電話で110番するものの、静岡市から来ていることもあり、土地勘が無く現場の所在をうまく説明できず困っているところへ、たまたまラフトツアー中の我々が現場にさしかかったので、救助を要請。



ナチュラルアクション・ラフティングツアー 午後の部

5ボート、ツアー客29名 リバーガイド(以下単にRGと表記)5名

(TL)佐野文洋(JpSART理事)
(RG)佐野達也(JpSARTメンバー申請中:会費未納)
(RG)Aziz Rachi
(RG)佐藤知幸(JpSARTメンバー申請中:会費未納)
(RG)倉沢みつ美

陸上サポート:佐野信弥、大関慎介(共にJpSARTメンバー申請中:会費未納)


●13:45 セーフティートーク後、新内房橋上流1km右岸側よりスタート、そのまま通称「前釜」へ進行、トップで(RG)佐野文洋のボートが前釜通過。
●14:00 右岸側の砂浜を大声を出しながら走ってくる人を見つけ、その人に近づくと、「5分ほど前に同僚が川の中に沈んじゃって、見つからないんです!助けてください!!」と、救助の依頼を受けたため、一時ツアーを中止してツアー客を右岸側の陸上に上げ、(RG)佐野文洋と(RG)佐野達也、(RG)Aziz Rachi及び、行方不明者の同僚2名と共に水中メガネ(そのグループより借りる)を装着して捜索開始。
その間に(RG)佐藤知幸と(RG)倉沢みつ美は、ツアー客が現場に近づかないよう誘導すると共に、その場にて連絡係として待機。
●14:10 行方不明者の同僚が川底に沈んでいるAさんを発見、「いた〜!」と大声を上げると共にAさんを水面へ、近くにいた佐野達也、Azizと3名でビクティムの気道を確保しつつ、右岸側の陸上へ収容。
ビクティムは心配停止状態、あたりを見回すが救急車が来る様子もなく、佐野文洋はCPR実行を決意、すぐに佐野文洋がマウスシールドを使って人工呼吸を、佐野達也が心臓マッサージを開始。
ビクティムの同僚が携帯電話でもう一度110番するものの、事故現場の場所をうまく説明できない様子なので、人工呼吸を佐野達也に替わり、心臓マッサージをAziz Rachiが実施。
電話に替わった佐野文洋は現場の場所を説明した後、その携帯電話でリバーベースへ連絡し、JpSART富士川広域分駐所メンバー全員への連絡を、佐野信弥へ命ず。(14:22 三尾祐一の携帯電話へ着信)
倉沢みつ美はツアー客の確保、佐藤知幸は救急車の誘導のため堤防の上へ。
●14:35 救急車が到着、救急救命士にCPRを交代する。
●14:40 陸上班の佐野信弥と大関慎介が現場に到着、ラフトツアーのトリップリーダーを佐野文洋から大関慎介に交代。
●14:45 佐野文洋のみ現場に残し、ラフトツアー再開。
●15:00 救急車が出発。

その後、佐野文洋は警察及び消防の現場検証に立ち会い15:30頃、現場検証終了





●上記の報告書に記した時間の流れは、現場に居合わせた者の話を総合し、私が想像したものですので、あくまで参考です。
●やはり現場では、落ち付けと言う方が無理な話で、相当量の練習をこなしていなければ、現場では次の行動に迷ってしまう。
●人工呼吸にはビニールシートにプラスチック製の逆止弁が付いたマウスシールドを使用したのですが、数セットのCPRを施したら、プラスチック製の逆止弁がはずれ、ビニールシート1枚だけでCPRを施さなければならなかったので、必ず数セットを持ち歩く必要性を感じた。
また、同時にビクティムの嘔吐物がひどく、ビニール手袋及び、タオルなどの必要性も感じた。
●例え水の上にいても外部と連絡の出来る方法を確保する必要性を感じる。
●ビクティムの仲間がした、消防等への連絡を信じてはいけない。正しく情報が伝わっているかが疑問である。
●CPRを実施した者は、出来れば二度としたくないと感じたようだが、JpSARTに所属している以上、今後絶対に経験しないとは言い切れないだろう。




※ここからの報告は、我々の主観がかなり入っている内容ですので、そのつもりでお読みください。

●本来同じ行政機関である消防と警察との連携は、ほとんどなされていないと言って良い。(同じ事故現場での検証なのに全く別の方法で行い、職員同士で情報交換をしている様子もなく、消防・警察双方から全く同じ事を聞かれた)
●何故かは不明なのだが、今回の事故への対応について、警察は今後とも我々への協力をお願いしますという態度に見えたのだが、消防にはあまり歓迎されていない様子だった。ほんと、変な話だ。
●たぶん勘違いからきた誤解だとは思うのだが、消防が現着時に開口一番、「おめいらが×(手をクロスしてバツ)なんてサイン出すから、ここじゃないと思って他へいっちまったじゃねぇ〜かぁ〜!!(怒)余分なこと、すんじゃねぇ〜よ!!」と、怒鳴りながら近づいてきた。
それに対して、消防の到着が遅くカリカリしていた我々も、「何だよそれは!俺達がそんな訳のわかんねぇ〜ことするわけねぇ〜じゃんかよぉ〜!!」と、一時現場は険悪なムードになったのだが......
後でこの事について調べてみると、救急車が到着する前に消防車が橋の上から、一番近くにいたAzizに向かって「ここかぁ〜?」......「見つかったかぁ〜?!!」と叫んだのに対して、Azizは手を頭の上でクロスし、行方不明者が見つかってない事を示したのを、現場がここではないと思い、救急車を他へ走らせてしまったようだ。(たしかに第三者が客観的に見れば反省すべき点もあるが)
しかし、40人からの人が川原と水中を右往左往しているところを見ていながら、救助のプロが他へ行ってしまうというのも、我々から見れば変な話である。

リバーピープルとして、目の前で溺れている人がいれば、助ける為の道具と、知識が有る我々は、まず行動するだろう。
リバーピープルとして、目の前に心配停止状態の人がいれば、CPRの訓練を受け、その知識がある我々は、やはり行動を起こすだろう。

結果がどうであれ、行動を起こした者は自分を称えるべきで、自分を責める必要は無いのと同時に、他の者から責められるようなことは無いはずだ。

また、これは言ってはいけない事なのかもしれないが、現場に到着した消防隊員は水の中で捜索できる装備を付けているわけでもなく、もっと言えば、我々がいなければ、水中に沈んだビクティムを収容できなかったはずなのに、このような暴言を受けることには耐え難いものがある。

救急車に乗られている方は、もちろん救命のプロなのは知っている、そして、我々のことをほとんど知らないその人から見れば、我々が素人に見えるだろうし、我々の行っている行動は一見無謀にも見えるかもしれない....
そんな人から見れば、我々が現場にいることが許せないのかも......


行政との連携を深める........我々の存在を、そして我々が有している技術を、そういう人達に知ってもらうためにも、改めて必要性を痛切に感じた。


最後に、今回不幸にも亡くなられたAさんのご冥福をお祈りいたします。



報告書作成:JpSART理事 富士川広域分駐所所属 ○○祐一
 
 
 
下記新聞記事の現場検証での写真には、一人PFDを付け川の中にいるナチュラルアクションのガイドが写っています。


 

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