エンジンに対するプロペラの設定

1)序文
 航空機に対するプロペラの選択は、航空機設計者次第です。一定の確実な回転数、及びその他の必要条件(騒音限界等)を満たすエンジン性能は、航空機の要素の一つになります。いかなる場合においても、各プロペラの回転数は、エンジン性能に適していなければなりません。
 
2)理論的基準
2.1)プロペラ・マッチング
 図@は、エンジンとプロペラの相互関係を示します。プロペラは回転数の増加により、必要とされるドライブ・トルク(運転時の負荷)も急激に増加します。

 
一定の速度にプロペラが加速する為には、プロペラが消費している以上のトルクをエンジンは発生しなければなりません。よって、それらが釣り合う(エンジンの馬力≦プロペラの消費トルク)まで、プロペラは加速します。

 プロペラカーブ“”において、ポイント“”より下のプロペラトルク消費と、その上のエンジントルクの余り“”があれば完全に操作が可能です。もし、プロペラ寸法、ピッチ、又は減速比が適当で無い場合、プロペラカーブは効率の悪い方へ働き、問題が発生します。例えば、カーブ“”および“”はプロペラが大きすぎる、又はピッチが高すぎる事を示します。プロペラによって多くのトルクが消費され、エンジンは公称の回転数に達する事が出来ません。
 また、プロペラカーブとエンジントルクカーブがお互いに近くほとんど平行な為、エンジンのわずかなトルク減少原因(エンジンの周囲温度が高い場合や、空気密度の変動等)で、エンジン回転数は“”から、それより相当低い“”になります。その為、不安定になりプロペラの性能は十分に発揮できません。
 プロペラカーブ“”は、利用可能なトルクを十分消費しないプロペラを示します。この場合は許容最大回転数を超え、さらに性能の損失も生じます。
 
異なるプロペラ毎のトルクカーブ表《図1》
表の記号の説明
 A:最適なプロペラマッチング時のプロペラトルクカーブ
 B/C:大きすぎるプロペラ又は、高すぎるピッチによるプロペラの場合のプロペラトルクカーブ
 D:低すぎるパワー消費のプロペラトルクカーブ
 WV/Z:フルスロットルにおけるエンジントルクカーブ
 X/Y:不適正なプロペラマッチングによる回転数及び性能の低下
 N:フルスロットルにおける公称の性能カーブ
 R:部分負荷における公称の性能カーブ
 U:余剰トルク
 

2.2)ギアボックス
 指定されているプロペラは、ギアリダクションの減速比を適応させる事により、エンジン回転数の範囲に適合させる事が出来ます。
例:プロペラカーブ“”の場合、プロペラ回転数を【高く】する(例えば、減速比2.5の代わりに i=2.3)必要があり、プロペラカーブ“”の場合【低く】する(例えば、減速比2.5の代わりに i=3.0)必要があります。

2.3)推進力

 プロペラ推進力とは、空気圧力差の反作用の力です。よって、より多くの空気、及び加速が、より多くの推進力となります。
 指定されたサイズのプロペラは、加速中では効率が悪くても大気速度中に効率が良くなります。しかし逆に、指定より大きなプロペラは、加速中では効率が良くなりますが、大気速度中に効率が悪くなります。
 また、それはピッチや回転数にも大きく関わっています。
 もしピッチが低い場合(@)、推進力は速度と共に急激に減少し、逆にピッチが高い場合(A)プロペラブレードが失速状態の近くで作用する為、静止推力は減少します。 

3)設定不良による症状
  1. エンジンが公称の回転数に達しません。
  2. 単時間でエンジンの回転数が公称の値に達するが、すぐに回転数が落ちて行き、パワーが低くなってしまいます。
  3. エンジン回転数が一定の負荷による安定した回転数を保たれません。
  4. エンジン性能は、周囲温度、空気圧力(空気密度)、エンジン状態にかなり左右され、上記のような問題は、長時間使用した後にも発生する可能性があります。

※注:上記のエンジン状況、設定、症状は全てROTAX社指定のエンジン設定によるものです。よって、それ以外の場合は症状、設定等が変わる場合がありますので御注意下さい。

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