「黒白表現」
1 (黒と白双方を言う)
01 人を評価する場合、結論として良く評価するか、悪く評価するかのどちらかです。良く評価する場合、長所(白)ばかり挙げる人がいます。また、悪く評価する場合、短所(黒)ばかり挙げる人がいます。しかし、考えて見ると人には100%長所ばかり、100%短所ばかりという人はいません。ですから、良い点と悪い点の両方を言うべきことになるでしょう。
02 法律の論文のみならず、大学で論文を出題される場合は、このように人に対する評価と同様に、また、それ以上に賛否両論に分かれます。このような論文を書く場合、自分の説ばかりを書くのは、視野が狭い、配慮が足りないといわれても仕方がありません。
03 黒白双方いう場合の効果も考えてみて下さい。人から意見を聞く場合、黒白双方いうと説得力があると思いませんか。また、論文を読む場合でも、反対説を上げて自説を説いてくれると分かり易く、説得力があると思います。自説だけだと争いがある問題なのか、ない問題なのか分かりません。かって、民事訴訟法ですが兼子先生の本と、三ケ月先生の本を読んだとき、三ケ月先生の本の方が兼子先生の本に比べて論争的で分かり易く、よく理解できた体験があります。ですから問題について黒白双方を言うということを基本的に頭の中に入れておくことが大切です。
2 (黒と白の量)
ところで、評価の対象になる人を良く言いたい場合、短所を少し言い、長所を多く言うことが良いですね。短所を10〜30%・長所を90〜70%言うようにすると良いと思います。逆に評価の対象になる人を悪く言いたい場合、長所を少し言い、短所を多く言うことが良く。長所を10〜30%・短所を90〜70%言うようにすると良いのです。
3 (黒と白の順序)
次に、人を良く(白)言う場合、短所(黒)を先に言うか、長所(白)を先に言うかの問題があります。この場合、通常、短所(黒)を先に述べ長所(白)の方を後にいう場合が多いようです。これも一つの方法です。
しかし、意見をはっきり言う必要がある場合、結論の長所(白)の方を先にいうべきでしょう、とりわけ法律の論文では、このほうが多いと思います。
4 (黒白表現の命名)
このように、黒い部分と白い部分というふうに図式的に考えることを「黒白表現」といいます。この名前は私が勝手につけた名称です。
これにより灰色が表現できると思います。文章に色をつけることができるのです。黒の方を多く言うか、白の方を多く言うかで灰色の濃さに変化が出てきます。
このように、「黒い部分と白い部分をいう」と明確に考えるようにすると、論文に起伏がでてきます。音楽は、低音部と高音部などによって構成されています。また、「絵画」に大切だといわれる陰の書き込みがあります。文に陰を部分を書くことになり、文に立体感が出てきます。「黒白表現」は、文における「光と陰」の問題です。
5 (法律論文)
ところで、法律の議論は、あるテ−マについて自説(白)と他説(黒)の論争です。
「説」は、「結論と理由」からなっています。自説だけ主張していると論文に起伏がなくなります。他説ばかり書くと影ばかり書くことになり、光の部分が弱くなります。ですから、他説をほんの少し加えます。法律論文を読んでも、他説の紹介や参照文献ばかり書いて自分の意見がほとんどない論文を見受けることがありますが、こういう論文は、影ばかり書いて、光の部分が弱いものです。ですから、「争いがあるが、」、「−−−のようにも考えられるが、」だけ影の部分を書いて、後は、自説の結論その中でも取り分け「理由」に力を注ぎます。料理に香辛料を加えますが、その場合、少量です。他説は、「味の元」を振りかける程度でよいのです。そのうえで自説の中身を充分を述べると、良いのです。
6 (論点の数)
論点が数個ある場合の工夫をして下さい。
01 論文には、論点が3〜4個あるのが通常です。この場合、論述の順序は、工夫が必要です。いつも黒を言ってから白を言う。または、白を言ってから黒を言うでは、文が単調となって迫力に欠けることとなります。このような場合には、黒白、白黒、白黒、黒白とか、その逆とか、種々組み合わせを考えることです。なかには、黒を入れず、白(主題、結論、理由)だけで書いても良いでしょう。
02 論点間の論理的順序を考えること。論点には、前後があります。この順序を考えて下さい。
03 1つ1つの論点の量を考えましょう。論点が4つある場合、4つを等分に論述することは、平板になり、迫力に欠けることになります。4つのうちの1〜2は、重要な大きな論点の場合がおおいのです。ですから、15%、40%、30%、15%というように、論述の力の入れ具合をはっきりさせましょう。
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