富士山麓にヨウム啼く 番外編  アキレス腱断裂記4 退院(術後810日) 4 Oct.2001


IEをお使いの方は文字サイズ75%を推奨いたします

2001年9月16日(日)8日目

蟻の勝ち

●前日家に帰って頭を洗ってあったので、すっきりした気持ちいい日の始まりだった。でも家に帰ってもハイハイで家の中を這いず
り回るだけで自力で何もできないと思うと、まだ入院していた方がいいかも知れないと思えてくるのだった。
寝不足だったので、朝食後しばらくうとうとする。回診も点滴もない静かな午前中だった。
でも、アメリカで起きたテロのことを知りたくて、テレビをつける。

●昼にSが病院にやってくる。天気がよかったので、どうしても屋外に出てみたくて、車椅子を押してもらい、病院の外に連れて
いってもらい日なたぼっこをしばらくする。蟻が自分の何十倍も大きな蛾を担いでアスファルトの上を進んでいた。
アスファルトは途中で山のように高く盛り上がっている箇所がある。蟻は一番なだらかそうなコースを選んで(!)、
山を登って越えていった。私のハイハイは、蟻の荷物担ぎ歩きの足下にもおよばないのだった。

●この日は2日前に買ったテレビカード(1枚で16時間弱見ることができる)を1枚使い切る勢いでテレビを見た。



2001年9月17日(月)  9日目

連休明けの回診

●連休後の回診は非常に時間がかかるらしく、普段11時過ぎに回診になるのに、この日は12時を回ってもまだ他の部屋に先生がい
る。先にお茶が配られて、外には昼食のカートが来ていた。やっと回診になる。私は9人屋の入り口のベッドなのだが、いつも回診
は最後なのだ。傷口を消毒してガーゼを交換するだけなので、最後になっているらしい。
私の前に8人の患者さんを診たら、この日に来たお医者さんは私を飛ばして部屋から出て行こうとした。

●その時、看護婦さんが「先生、Hさんのガーゼ交換が残ってます!」と呼び止めてくれたのだった。一安心。
そして「Hさん、家の事が心配なので退院したいそうです」と、14日に来た看護婦さんとは別の看護婦さんが言うではないか(驚)
外出願いの時も本当はちゃんと申し送りされていたのに違いない(恥) 何度も催促して悪いことしたなと反省。
でも昨日の一時帰宅で、自分では何もできず、このまま退院しても大丈夫だろうかと気弱になっていたところに、
突然の『Hさんは退院したがっている発言(笑)』だったので、正直、慌ててしまった。

●すると、お医者さんが「手術して何日経つ?」と聞いてきたので「今日で8日目です」と答えた。「ああ、もう退院できるかも知
れない。抜糸も、明日ならもしかしたらできるかも知れない。院長(私の主治医)に退院したいってHさんが希望してるって言って
みるよ」とのことだった。明日にも抜糸できるのなら、消毒とガーゼ交換のためだけに毎日通院しなくて済む。それなら明日抜糸後
に退院しようと少し希望が見えてくるのだった。

●それから1時間後、看護婦さんがハアハア言いながら部屋に駆け込んできた。「Hさん、院長が退院していいって言ってますよ!
今退院してもいいって言ってます」__って、あれれ? まるで私がどうしても退院したいとダダをこねて、院長がもう嫌に
なって「今すぐ退院しちまえ!」と言ってるような気がしたのだった。

●一応「院長怒ってるんですか?」と聞いたら、やっぱり看護婦さんは笑って「ちがうちがう」と言うのだった(笑)
でも、看護婦たちも補助看護婦さんたちもみんな「もう退院するんでしょ?」と声をかけてくる。
ああ、退院するように仕向けられている…勿論そんなことはない(笑)
Sがこの日病院に来てくれるのは早くても夜7時を回るので、急に退院はできない。翌日の夜、仕事が終わったら迎えに来てもらう
ことになった。

●だが、とても心配だったことがある。このまま退院すると、どれくらいの割り合いで通院するのか、リハビリはいつから始めるの
かなどのスケジュールが一切分かっていなかったからだ。看護婦さんに聞いてもよく分らなかった。誰かお医者さんをつかまえて聞
かなければ。部屋を出ずに、毎日早朝と夕方の2回病室に顔を出してくれる親切そうな先生を待つことにする。そしてその先生がい
つも通り部屋にやってきたので退院後のスケジュールをまだ聞いていないので教えてくださいと声をかけてみた。すると、概ねこの
ようなスケジュールだと以下のように教えてくれた。

<アキレス腱断裂/手術後のスケジュールの1例>
手術後2週間目までは安静にして毎日消毒とガーゼの交換をする。最初の1週間は抗生物質を投与。
術後2週間目でギプスを外して抜糸し、抜糸後に新しくギプスを装着する。
 #最初のギプスは爪先立ちのような足首の角度で固定しているが、2週間目以降のギプスは足首の角度が床に足をまっすぐ
 #投げ出して座った時の角度(120度くらい)にする。
さらに2週間後ギプスを外し、「半ギプス」を装着する。半ギプスはギプスを縦半分に切りベルトで脚に固定するものか、
 足の裏〜かかと〜ふくらはぎの裏のみを固定する板状の細長いギプスをベルトで脚に固定するもののどちらかで、
 いずれも入浴時は半ギプスを外すことができる。リハビリも開始できる。
 


そして、ギプスをしている間でも自分で腿を鍛えるトレーニングをする方がいいと教えてくれる。
方法は椅子か車椅子に座り、ギプスを装着している方の足をゆっくり前にあげて、ゆっくり元の位置に下ろす。
負荷をかけたいなら両膝をぴったりつけてこの運動を行う。




2001年9月18日(火)10日目

いよいよ退院

●前日とはまた別のお医者さんが回診に来る。初めての先生だ。消毒だけして帰ろうとするので、「抜糸は今日はしないんですか?」
と聞くと、逆に「手術して何日目?」と聞かれる。「10日目です」と答えると、「まだできないね。2週間目まで待ちなさい」と
言われる。私と看護婦さん2人で目が泳いでしまう(笑)
帰ろうとするお医者さんを呼び止めて、このまま退院すると消毒はどうしたらいいですか?と聞くと、「次に22日に通院なら、
その時まで何もしなくて大丈夫でしょうとのこと。それなら前日無理にでも退院しておおけばよかったかも知れない。
何かあったらすぐ病院に連絡していつでも来てくださいねと看護婦さんがフォローしていた。

●そしてSが午後に休みをとってくれて、夕方退院してくる。階段を登るのが一苦労だが、22日(土)の通院までは階下に降りる
必要がないのでひとまず安心。買い物に行けないので、夕食材料を宅配する会社に来週からの配達をお願いする。
今週はとりあえずはSが仕事の帰りに買い物をしてくることになった。

●そして私は、自分が家の中に(病院の中に)閉じこもることができないタイプの人間だとこの度の入院で痛感したので、車椅子を
何とかレンタルして、週末だけでも外に出たいと思った。ネットで調べると、自治体によっては、怪我をした人へ車椅子をレンタル
する制度があるが、私の住む市にはその制度がなかった。「車椅子 レンタル」で検索しても、介護用レンタルしか見つからなかっ
た。ちょっとした怪我などの時に気軽に車椅子を1日単位で貸してくれるところがあれば便利なのにと痛感する。

●週末に一時帰宅した時の経験から、台所の流しの前と洗面所の洗面台の前に椅子を置く。
椅子を「基地」にしてケンケンしたりハイハイしたりして別の場所に移動する。洗面所に置いた椅子に座ると、ヨウムのいる部屋が
よく見渡せるので、そこによく座ってヨウムとお喋りをした。ただし、長い時間椅子に座っていると、足がむくんで痛くなってくる。

●この日困って解決できなかったのは、ハイハイやケンケンだと物を持って移動できない(後にできる方法を発見)こと。
そして掃除機をかけるとしたらどうしたらいいか、見当もつかなかったことだった。


home e-mail

4 退院
1手術 2入院1 3入院2 4退院 5抜糸
6鳥に好かれる 7ギプスが外れる    8足首周りに筋肉出現   9松葉杖で歩行訓練   10再断裂       
11再断裂・ギプスで固定   12ギプス巻き直し 13再断裂3週間経過 14再断裂4週間経過 15再断裂5週間経過
16再断裂後のギプスが外れる 17リハビリ再開 18松葉杖1本で歩行訓練 19自主トレの日々 20歩行訓練
21松葉杖を返却する