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 平成7年度に一年生で実施した朝読書の記録である。実際に使用した企画書、趣意書、生徒保護者向け文書などを掲載した。残念ながら、運営委員会では企画が通らず、学年部での実施となった。しかし、懸案であった時刻の問題は棚上げされたままであったために無理が生じたことは否めない。8クラス中、企画に乗ったのは3クラスであった。結局は1年半で挫折したが、学校の日課を変えさえすれば、本校では実施可能であるとの手ごたえは得られた。生徒の反応は比較的よく、文化に対する興味関心が高まったように思う。機会があれば、再起を期したい。


企 画 書  

件名:朝の読書指導の件

目的:朝の読書指導による、特色ある学校作り

要旨:生徒の読書離れの現状は目を覆いたくなる惨状と言ってもよい。現在ほぼ高校生の三分の二の生徒が月に一冊も本を読まないとされている。読書の効用は生徒も理解しているが、マンガ、テレビ、テレビゲーム、カラオケ、長電話、CDといった易き享楽に流されてしまっている。そこで、読書を教育のシステムの中に取り入れて、定期的に読 書に勤しむ習慣を作り、直接的には読解力の向上を、また間接的には、生徒の心の安定を図り、本校の特色としたい。

実施案:

 日時 テスト中と学校行事を除く毎日。朝のHR時間を10分読書時間に充てる。

 指導 担任教諭があたる。担任も図書を持参し、教室内で読書をする。

 図書 生徒が持参する。内容に関しては当面、指導する必要はないが、マンガは認められない。学級文庫の設立も考えられる。

実施にあたって:

 一番問題とされるのは、日時であろう。特に、現在の時間割では、10分の読書時間を取ることは不可能である。そこで、以下のように時間割を変更することを提案したい。

現状
第一案
第二案
第三案
08:20 打合せ 08:20 打合せ 08:20 打合せ 08:15 打合せ
08:35 HR 08:30 朝読書 08:30 朝読書 08:25 朝読書
08:45 授業 08:40 HR 08:40 HR 08:35 HR
08:45 授業 08:50 授業 08:45 授業 08:45 授業

問題点:

@打合せ時間の短縮について

 現状では15分確保してある打合せであるが、これを5分短縮したい。司会者の力量に負うところが大きいのだが、幾つかのアイディアによって短縮は可能だと思われる。一例として、SHRボックスの導入があげられる。現在職員室コンピューター正面にある、書類ケースに類するボックスを用い、ホームルーム配付物は打合せ前にSHRボックスに入れるものとする。同時に、連絡黒板を活用し、単純な連絡事項は板書で済ませるようにする。その他、様々なアイディアによって短縮は可能だと思われる。

AHRの短縮について

 朝読書の後でHRを行うために、朝読書中に出欠を確認できる。また板書によって連絡する等の方法で、HRの短縮も可能かと考える。

B図書の確保について

 読書する図書については、生徒が持参することを原則としたい。しかし、持参しない生徒のことを考え、あらかじめ、担任が何冊かの図書を教室に用意しておくことが望ましい。ゆくゆくは学級文庫を設立し、推薦図書を常時展示することも考えられる。


 問題点の考察

 実施にあたっての物理的問題点について考察する。日時に関する問題として、@実施日時をどうするか、A実施時間をどうするか、B時間割変更について、の三点を考察したい

@実施日時について

 実施日時を考える上で、週一回、時間を多く取って実施した方がよいのではないか、また、読書週間を設けて、集中的に実施した方がよいのではないか、という考えが寄せられることと思う。しかし、「読書の習慣化」という大前提を考えるに、長時間の集中的な実施よりも、短時間の継続的な実施の方が妥当ではないだろうか。将来的にはLHRとの連携や、テスト終了後の特別時間割時の読書時間確保も考えられるが、まずは、連日の読書を目標にしたいと思う。

 原則として、可能な限り、ほぼ毎日行いたい。それは、直接的な効果である読書力向上ということから離れて「規則正しい生活習慣の確立」という観点から、必要だと思われるからである。また、習慣に対して非常に従順な本校生徒の特徴を考え、この「朝読 書」を学校生活の中での一つの習慣として早急に位置付けるためにも、能う限りの実施を原則としたい。考えられる朝読書の免除の理由としてはaテスト中、b学校行事(朝礼を含む)などがあげられる。

A実施時間について

 放課後実施の長所としては、10分に捕らわれることなく、25分ほどの時間確保も可能であることがあげられよう。しかし、放課後の実施にあたっては、部活動、補習との絡みが考えられる点が最大の短所であろう。

 昼間の実施も考えられる。実際、この読書プロジェクトはアメリカの公立学校で率先して行われたものであるが、そこでは25分を読書時間にして、昼間に行っている。ただし非常に大きな抜本的な時間割の変更を伴うために、初年度から、昼間に行うのは、慎重になるべきであろう。

 したがって朝に実施することを原則としたい。朝、大きな時間割の変更を伴わずに、行うために10分程度を考えたい。5分ではあまりにも短か過ぎ、15分ではあまりにも時間割への影響が大きい。10分または7分の時間確保は絶対に必要な最小時間であろう。

B時間割の変更について

 朝の時間帯における、十分の時間確保を目的にした時間割の変更を考察する。ポイントとしては・打合時間の短縮・HR時間の短縮・打合開始時間の繰上の3点である。もちろん、繰上や短縮をしないということも可能である。(第一案)ただし、その場合には、終了時間の10分繰下が不可欠となる。

〔ア・打合時間の短縮について〕

 現状では15分確保してある打合せであるが、これを5分短縮できる可能性がある。司会者の力量に負うところが大きいのだが、幾つかのアイディアによって短縮は可能だと思われる。一例として、SHRボックスの導入があげられる。現在職員室コンピューター正面にある、書類ケースに類するボックスを用い、ホームルーム配付物は打合せ前にSHRボックスに入れるものとする。同時に、連絡黒板を活用し、単純な連絡事項は 板書で済ませるようにする。その他、様々なアイディアによって短縮の可能性は高い。

〔イ・HRの短縮について〕

  朝読書の後でHRを行うために、朝読書中に出欠を確認できる。また板書によって連絡する等の方法を取ることで、HR時間そのものの短縮は可能ではある。ただし、教師の教室への往復時間の短縮はほぼ不可能であるために、HR時間は10分確保したい。

現状 第一案 第二案 第三案

08:20 打合せ 08:20 打合せ 08:15 打合せ 08:15 打合せ

08:35 HR 08:35 朝読書 08:30 朝読書 08:30 朝読書

08:45 授業 08:45 HR 08:40 HR 08:40 HR

08:55 授業 08:45 授業 08:50 授業   08:45 授業

第四案     第五案     第六案

08:15 打合せ  08:20 打合せ 08:20 打合せ  

08:25 朝読書  08:30 朝読書 08:30 朝読書

08:35 HR   08:40 HR  08:40 HR

08:45 授業   08:45 授業   08:50 授業

 ※以上の案を表にまとめて長短を比較してみた。

第一案

第二案

第三案

第四案

第五案

第六案
備  考

打合時間

不×足

不×足

不×足
10分間に短縮の必要

HR時間

不×足

不×足

5分間に短縮の必要
日課遅れ

遅×れ

5分か、10分の遅れ

出勤繰上

繰×上

繰×上

繰×上

5分の繰上出勤の必要

岳鉄時間

繰×上

 ※岳鉄富士岡駅到着時刻 〔上り・08:02 / 08:17〕 〔下り・08:02〕

身延線及び東海道線を乗り継いで来る生徒は、吉原発07:42〜富士岡着08:02の列車で来ているはずである。08:17着の列車で来ることを考えると、08:30よりの朝読書は、大変困難な日程となる。08:02着の列車で登校する指導の必要があろう。ただし、生徒の話を聞くと、08:17着で08:30に教室にいることは不可能ではない。


朝読書に関する問題点とその解決策

※あらかじめ考えられる問題点について、解決策を考えてみたい。

@国語科なり、一つの学年なりで、実施した上で全校実施にふみきるべき

・現行の時間割では、特定のクラス、学年だけ実施するのは不可能であり、時間割変更を伴う必要がある。そのために、全校一致して行う必要がある。極論を言えば、時間割の変更さえできれば、全校で実施する必要はなく、試験的に、新学年のみの実施も可能。

A時間割変更についての問題

・この点については、国語科のみが考えても埒が開かない。教務課、図書課、国語科、生徒課などのプロジェクトチームを組む必要があろうか。チームの編成は無理だとしても、現段階で決定的な時間割案を、国語科が提出する必要はないのではなかろうか。懸案事項として、分掌を越えた論議を待つのがよいと思われる。

B担任教師の負担増加についての問題

・担任教師の負担として、まず考えられるのは、書物を持ってこない生徒に対する指導であろう。この点については、あらかじめ、担任教師が書物を用意しておくことで、解決できよう。その書物の提供を、図書課と国語科で行うとしてはどうだろうか。書物と言っても、新刊のハードバックである必要は全くなく、文庫の古書でも構わないために、紛失などの管理の問題もそう神経質になる必要はないと思われる。

・また、生徒が読まないのではないか、という根本的な懸念がある。この懸念については実施してみないことには何ともいえないが、国語科の予測としては、どうだろうか。

C読ませるだけでよいのか、確認作業をする必要はないか

・結論から言えば、確認する必要はなく、読みっぱなしでよい。読書によって培われる知識の蓄積、判断力の向上などは、確認しづらいものである。しかしながら、読書を継続することで、確実に知識などは向上してゆくことは、ほぼ確実だと思われる。読書習慣を形勢することだけでよいのではないかと考える。むしろ、感想文や小論文の提出や、競争原理を取り入れた冊数競争などは、読書に対する抵抗心を助長するものだとして、排除する方向で考えてゆきたい。

D朝の10分では短すぎて、ほとんど読めない生徒がいるのではないか

・10分間、読むことができない生徒が確かにいるだろう。また、このような読書習慣のない生徒のためにこそ、この企画は存在するとも言えよう。このような生徒にとっては、1時間あろうが、30分あろうが、集中できる時間は短く、10分程度の継続こそが、もっともふさわしいのではないかと考えられる。継続こそ力なり、と言えよう。

E読書は国語科と図書課の問題であり、全校でやる必要はないのではないか

・部活動が体育科の問題のみではないように、読書も、国語科、図書課のみの問題ではない。知育、徳育、体育といわれるが、読書という行為は、高度にさまざまな教科に連関し、また、学生生活において大きな意味合いを持ちうる。


平成7年4月7日

1年7組 生徒の皆さん

1年7組 保護者各位

1年7組 担任

SH

朝読書のお知らせ 

 この度、1年部の幾つかのクラスにおいて、「朝読書」という企画を行います。これは朝、10分間、読書を行うというものです。読む本の内容は、何でも構いませんし、読んだ本に関して、感想文の提出を求めたり、一月に何冊以上読むこと、というような決まりもありません。

 現代の高校生は、読書習慣を全くなくしてしまっています。それは、本校のような実業高校でもそうですが、進学校においても、読書する高校生は激減しています。また、大学生にも読書しない学生が増えてきています。

 しかし、読書というものは、私たちにとって、非常に大切なもののはずです。私たちは体を鍛えるために運動をし、頭脳を育てるために勉学をします。読書は、心を育てるために最も大切なことなのです。

 読書時間は、わずかに10分間です。しかし、1週間続けると、ほぼ1時間に相当します。高等学校の授業は、年間35週間ありますので、1年間で、生徒の皆さんは30時間以上の読書を学校で行うことになります。3年間では100時間ほどになります。

 最初の内は、なかなか集中できないかもしれません。しかし、「かったるい」という否定の言葉は、とりあえず、胸の中に納めておいてください。「くだらない」とか、「かったるい」という否定の言葉は、1秒で終わります。しかし、わずか1秒で否定した者には決してわからない世界があります。100時間集中して読書したものにしか分からない世界というものが確かにあるのです。

 吉原商業高校は、校舎が新しくなり、県下でも有数の施設となりました。それと同時に学校の主役である生徒の皆さんにも、新鮮で、県下に誇りうる学生になることを願ってやみません。

                  実施要領

日時:4月12日(水)08:30〜 〔テストや行事がある日以外の毎日〕

持物:本(マンガと雑誌以外とする)

注意:学級文庫として、教室内に自由に読める書物も用意します。また、図書館も八時ごろから開館する予定です。